楽しい文例集


葬儀のために 私の略歴

私の略歴

 

出 生     1945年8月15日 終戦の日に、長野県の山寺 寿福寺の長女として

              この世に生を受ける

18歳     有磯藻内大学 国文学科入学

22歳     未来銀行に就職、社会人となる

27歳     見合結婚

28歳     双子の女児を無事出産

30歳     長男出産

              この後は以前にも増して育児、家事に忙しい日々が続く。

              専業主婦として家計のやりくりをし、家族全員の健康管理に心を配る。

              子供の教育に頭を悩ませながらも、舅、姑の介護に身を挺し、見送る。

54歳     人の子供は全員社会人として独立

              平凡な日常ながら、ささやかな幸せを感じて日々を過ごす。

56歳     夫突然の他界

57歳     身辺整理も一段落。

 

              これで良妻賢母の生活とおさらば。良識ある未亡人もおしまい。

              この後は、後ろ指を指されることを恐れず、

              心のおもむくままに第二の人生を始める事を決断。

 

58歳     シニアモデルとしてデビュー。中年の輝く星をめざす。

 

 

とりあえずはここまで。

 



死亡通知

文例1 ---------------------------------------------------------

 

転居のお知らせ

 

久しくご無沙汰いたしておりましたが、お変わりございませんか。

 

私 山波はるか は長らく別居をしておりましたが、このたび夫のおります あの世に転居することになりましたので、ここにお知らせいたします。

 

転居するには、「桜の花が満開の季節がいいわね」とか、それとも「金木犀の香りが何処からともなく漂ってくる頃がいいかしら」とか、いろいろ想い描いておりました。

けれども夫の「そろそろどうだね‥‥」の声に、古女房としては時を選ばず喜んで応えることにいたしました。

この世では方向音痴の私でしたが、このお知らせがお手元に届く頃には、土産話をたずさえて無事夫のもとにたどり着いていることと思います。

これまで長い間お世話になりました皆さまに、心よりお礼申し上げます。

 

新住所は下記のとおりです。

近くにお出かけの折にはぜひお立ち寄りください、と言うべきところですが、帰り道がたびたび不通になりますので、どうぞ皆さまゆっくり十二分にこの世を楽しまれてからお訪ねくださいますようお願いいたします。

 

最後になりましたが、皆さまの健康と幸福を、いつも心よりお祈りいたしております。

またお目にかかる日まで、さようなら。

 

山波 はるか

 

 

転居先   振り返って5丁目 思い出楽しき8番地 18―106号


文例2 --------------------------------------------------------

 

ご挨拶

 

突然ではございますが、私 山波はるかは、先日この世に別れを告げました。

 

以前より葬儀は行わず、家族のみにて野辺の送りと決めておりましたので、

ここに この手紙をもってご連絡を申し上げます。

直ぐにお知らせすべきであったかとも存じますが、いろいろ思うところがあり、家族にも固く申し付けておきました。

 

余分な事ながら、どうぞ香典の類のことなどもお気遣いなされませんよう

お願い申し上げます。ご辞退するようにと 子供たちにも言い残しました。

 

 

 

生前はいろいろお世話になりました。 ふりかえれば、楽しい面白い一生だったと思います。程よき時に逝ったと見送っていただければうれしく思います。

どうぞ、ご家族皆々様お健やかに。

 

山波 はるか


文例3 ---------------------------------------------------------

 

ご無沙汰しております。お変わりございませんか。

 

私の方は、大きな変化がありました。

私は今あの世に居ります。びっくりなさいましたか。

願わくばこれから向かう先が極楽であって欲しいものですが、地獄であっても、それはそれで覚悟してましたから、何ほどのことでもありません。

 

閻魔様に手心を加えてくれてもいいじゃないかと掛け合っているか、地獄の責め苦に、死ぬ死ぬ!とわめいているか・・・

 

この世に存命中は、誠にありがとうございました。お近づきになれたこと うれしく思います。

もう新年のご挨拶はできませんが、来年もお健やかでよき年であるよう草葉の陰からお祈りしております。

 

なお、この手紙が届いたからといって、 どうぞお気遣いなさいませんようお願い申し上げます。家族にも、あの世への“はなむけ”はご辞退するように申し付けてあります。

山波 はるか



延命・葬儀について

文例1 ---------------------------------------------------------

 

最後について

 

最後の医療について

■ 延命医療

基本的に延命措置は不要です。命を延ばすつもりでも、先に伸びた死を待つだけになります。むなしいことです。

■  脳死による臓器提供

臓器提供カードは財布に入っています。貰うばかりの人生でしたので、使えるものがあればすべて差し上げてください。

■  在宅介護・看護

家族に負担がかかるので望みません。老人の医療施設なり、入れるところを探して入院させてください。自分や家族が大金持ちになった時は考え直します。

■  献体

臓器提供との兼ね合いで検討、考慮中です。化学処理をされて「人体の不思議展」などに展示されるのはいやですが、一度きりの解剖は痛くも痒くもありません。

なるべく早くに結論を出すつもりです。

 

葬儀について

■  葬儀

いわゆる葬式は不要です。家族のみにて通夜の後、速やかに火葬してください。通知レベル1の友人には手紙を用意しています。(死亡通知のところ) 連絡をし、通夜、火葬に来ていただいて構いません。手紙はそのときに渡してください。こられない時は郵送すること。

■  墓

遺骨は散骨を希望します。散骨場所など現在考慮中。決める前に死亡した時はお手数ですがよきところを探してください。墓はいりません。やむをえない時は、共同墓所のようなところを探してください。お父さんと一緒の墓には、死んでもいやです。

■  香典など

一切受け取らぬこと。受け取ってどこかへ寄付というのも望みません。


文例2 ---------------------------------------------------------

 

終末医療と葬儀に関して

 

可能ならば在宅での介護を希望する。

精神の自由と孤独の恩恵を最後まで楽しみたい為なり。

しかしながら、病人のわがままに家族が疲れ果てたる時は、ホスピスに島流しも可なり。

島民の人柄のよき所を極力選択すべし。

 

「覚書」(貸し金庫の中)の通り、延命の必要なし。

人は死ぬべき時に死ぬべし。下手にその時を逃すべからず。

 

医学の進歩に寄与する気持ちはなし。したがって臓器提供、献体の意思はなし。

 

葬儀の必要なし。

集まりたる者は、美食を楽しみ、所有のCDのよりチェロの演奏曲を楽しむべし。

加えて死者となった私と共有した思い出の中から、笑える話を各自紹介すべし。これは難題なるや?とにもかくにも大いに楽しむべし。

 

もし葬儀を執り行った時は、あの世から大声で私の異議申し立てが届くかもしれず、

それも本番のお楽しみとなす。

 

 

覚 書

 

私の家族および主治医の皆様へ

 

万一、私の病状が悪化し、私が自分の将来の死についての意志決定に、もはや関わることができない時が来た場合には、この覚書を死を迎えるにあたっての私の願いと指示とみなして下さい。

 

もし、私が医師により、身体あるいは精神の障害から回復の見込みが全くないと判断された時には、私 山波はるか は、人工的な大がかりな手段(人工呼吸器のような生命維持装置の使用や、昇圧剤あるいは血液製剤などの使用)によって、生き続けさせられることを望みません。最後まで人間としての尊厳をもって、死を迎えられることを要望します。

 

ただし、苦痛を和らげるための十分なケアは心よりお願いします。

 

この覚書は、私が身体的にも精神的にもまだ健康であった頃、十分に考えたすえ、私の確信と信念に基づいて作成されたものです。

この文章は法律上の拘束力をもたないかもしれませんが、お願いした方々が道義上の責任を感じ、実行してくださることを切に希望します。

 

 

年   月   日

 

木野余市 尾張町 4番地

山波はるか(自書)



資産の処理 その他

 資産について

 生命保険

安心生命3本(終身保険と年金保険)

保険証書の記載にかかわらず、残った保険金は子供たちで等分すること。加えて、このお金で、各自保険料を、前納(残り一括払い)してしまうこと。

お父さんには配分不要。三人でどのように生活の面倒を見るかは、相談して好きなように。ただし、決して現金を渡さぬこと。

 

預 金

  • 郵便貯金(**名義)
  • 郵便貯金(××名義)・・・お父さんが持っている
  • ハッピー銀行(**名義)
  • フエル銀行(**名義)・・・メゾンカードの引き落とし用
  • フエル銀行(××名義)・・・日常の引落し用口座 お父さんに渡してはいけない

 

 このほかにも口座はあるが、残金がないので無視する。

以上に関する証書や通帳は、例の黒いバッグの中にある。

通帳は、通常持ち歩いているバッグに入っていることもある

 

 

株・不動産

残念ながら今のところ無し。

 

その他

  • オリンピックの記念硬貨などが引き出しにある。記念に取って置くもよし。現金に換えて子供たちで等分するもよし。
  • 押入れの箱の中の絵は、人間国宝の○○先生直筆のもので、「なんでも鑑定団」に出すと高値がつくかもしれない。ただし、保存状態がよくないので期待は薄い。
  • 戸棚にあるネコの絵の石とベロ出しおもちゃは、ちゃんとした1点もので高かった。雑に扱ってはいけない。
  •  極楽鳥の絵皿も高かった。捨てるでない! 

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写真の類

残したいものがあれば持って行って良い、後は処分。

 

その他の品

すべて処分して可。欲しいものがあれば、持ち去る。

ただし資産の項で書いたものは捨てないでほしい。これを形見と思うべし。

 

衣類の類

欲しいものがあれば、持ち去ってよいが、すべて処分して可。形見分けするほどのものは無し。

 

コンピュータの中身

ホームページ・ブログがあるので、落ち着いたときにプロバイダー契約を解除すること。パスワードは、アカウントの一覧を参照する。

パソコンの中のデータは形見にとっておくもよし、消去するもよし。

ただし、万が一手紙の類のデータが残っていた時は 読まず に一刻も早く消去してほしい。

受信・保存メールもすべて削除すること。



後記

文例を考えるのは楽しかった!

 

住所録の入力に、先生のところのデータをお借りしましたが、その名前に大笑い。

朝田おきよ 磯野かおり 杉田琴代 丹古里笑子 藁井豊 木下小影 吉池豪 加納希望 鹿田内よね 豆田元気 などなど